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日本財政制度審議会の年度予算編成に関する提言報告書

マクロ経済、財政持続可能性、国家安全保障の総合評価に基づく、令和年度予算編成に向けた包括的政策提言と改革経路の分析。

Detail

Published

10/01/2026

主要章タイトル一覧

  1. 財政総論
  2. 令和8年度(2026年度)予算編成の課題
  3. 社会保障
  4. 地方財政
  5. 防衛
  6. 外交
  7. 文教・科学技術
  8. 社会資本整備
  9. 農林水産
  10. 国内投資・中小企業等
  11. デジタル

ファイル概要

本報告書は、日本財政制度審議会及びその財政制度分科会が令和7年12月2日に財務大臣に提出したものであり、令和8年度(2026年度)の予算編成及び将来の財政運営に関する根本的な政策提言を目的としています。日本経済がデフレ脱却・コスト削減型経済から持続可能な成長型経済への転換という重要な局面にあることを背景に、供給制約、物価上昇、金利上昇という新たな環境下において、経済再生と財政健全化という2つの目標を両立させ、強靭な経済の構築を実現することが必須であると強調しています。

報告書の本体は大きく2部構成となっています。第1部「財政総論」では、現在の経済・物価動向、財政健全化の状況、及び将来の財政運営の基本方針を体系的に評価しています。名目GDPは600兆円を超え、GDPギャップは1年半ぶりにプラスに転じ、日本経済が供給制約に直面していることを示唆していると指摘しています。国と地方の基礎的財政収支(PB)赤字は大幅に縮小したものの、債務残高のGDP比は依然として高水準(205.3%)にあります。報告書は、金利上昇が財政の持続可能性に及ぼす大きな圧力に焦点を当て、想定より1%高い金利シナリオでは、利払い費が2034年度までに34.4兆円に増加する可能性があり、これは現在の社会保障関係費の規模に相当すると警告しています。報告書は、防衛、GX(グリーントランスフォーメーション)、AI/半導体などの重点分野への戦略的投資を確保するとともに、将来の予測不能な事態に対応するための財政余地を確保し、国債の信用格付けを維持することが、国及び民間企業の資金調達コストにとって極めて重要であると再確認しています。

第2部「令和8年度予算編成の課題」では、各政策分野における詳細な予算編成と改革提言を行っています。その核心は、少子高齢化と人口減少への対応、社会保障制度の持続可能性の確保にあります。報告書は、現役世代の社会保険料負担の抑制を強く主張し、医療・介護サービスの給付と報酬体系の構造改革、効率化の推進を求めています。また、年齢ではなく能力に応じた負担の原則を推進するため、高齢者患者の負担割合の見直し、後期高齢者医療費の保険料負担、金融資産の負担能力評価への反映などについて検討するよう求めています。地方財政に関しては、地方財政状況は大幅に改善したものの、税収増加に伴う自治体間の財政力と行政サービスの格差の拡大、特に東京一極集中問題の解決が急務であり、税源偏在是正を推進する必要があると指摘しています。

報告書はまた、防衛と外交の課題についても独立した章で深く掘り下げています。防衛の部分では、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、『国家安全保障戦略』及び『防衛力整備計画』に基づき、2027年度までにGDP比2%という防衛関連経費の目標を確実に達成する必要があると強調しています。同時に、防衛予算の編成において効率化と合理化を追求し、装備品調達のコスト管理(例:コストデータベースの活用、QCD評価の最適化)や研究開発体制の改革、人口減少傾向における自衛隊組織の最適化と隊員の待遇改善を求めています。外交の部分では、複雑な国際環境下において、主要な外交ツールである政府開発援助(ODA)について、事業管理能力の向上と資金調達の多様化を通じて国際協調を維持する必要があると指摘しています。報告書全体を通じて、多くの図表データが用いられており、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の原則が体現されており、政府に対して戦略的視野と緊急性を兼ね備えた2026年度予算編成の枠組みを提供することを目的としています。